後立山(長野) 布引山(2683m)、鹿島槍ヶ岳南峰(2889.2m)、鹿島槍ヶ岳北峰(2842m) 2021年8月11日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:01 大谷原−−1:57 西俣出会−−3:22 高千穂平(標識)−−4:27 県境稜線−−4:37 冷池山荘−−4:45 テント場−−5:25 布引山−−6:08 鹿島槍ヶ岳南峰9−−6:33 鹿島槍ヶ岳北峰 6:35−−7:12 鹿島槍ヶ岳南峰 8:02−−9:02 布引山−−9:44 テント場 9:48−−9:54 冷池山荘−−10:06 赤岩尾根入口−−10:39 高千穂平(標識)−−11:25 西俣出会(水浴び) 11:32−−12:13 大谷原

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2021年8月11日 日帰り
天候雨後霧後晴 北寄りの風強し
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場大谷原に駐車場あり。今年は橋を渡った対岸の駐車場も利用可能だがそれを知らない登山者が多い。今回もそちらの駐車場はガラガラだった
登山道の有無あり
籔の有無つい最近刈り払ったばかりで西俣出合付近の草藪はきれいに刈られていた
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント僅かな晴れの日を狙って鹿島槍へ。前日まで北アは暴風雨で夜中までその影響が残り、出発時は雨が降り県境稜線に出た時はガスっていたが急激に天候が回復して山頂では晴れて展望を楽しめた。ただし北寄りの冷たい風が吹いて寒いくらいだった。高山植物は既に秋でトウヤクリンドウがたくさん顔を出していた




左岸側駐車場は私の車のみ 西俣出合付近の草は刈り払われていた
高千穂平 県境稜線。ガスで真っ白
冷池山荘。ガスが晴れてきた 東の空が明るくなってきた
テント場。ハイマツの中の「別宅」にテントは1つだけだった 日の出(ピンボケ)
布引山から見た鹿島槍ヶ岳 ヤマハハコ
ヤマホタルブクロ。森林限界にもあるとは思わなかった キオン
最後の登り イブキジャコウソウ
鹿島槍ヶ岳山頂(南峰) 南峰から見た北峰。こちらに向かう
鞍部の雪渓 縦走路から北峰に向かう
鹿島槍ヶ岳北峰山頂。写真では分からないが風が強い 北峰から見た南峰
おそらくミヤマトウキ。セリ科は判別が難しい トウヤクリンドウはあちこちに顔を出していた
咲き残ったヨツバシオガマ タカネヤハズハハコ
ウラジロタデ イワギキョウ
ミヤマミミナグサ シコタンハコベ
シラタマノキ 僅かに残ったミヤマダイコンソウ
エゾシオガマ クロトウヒレン(アザミの蕾)
コケモモ ミヤマクワガタ
ウメバチソウ イワオウギ
ミネウスユキソウ シコタンソウ
ミヤマウイキョウ 鹿島槍南峰再び
鹿島槍ヶ岳南峰から見た南〜西〜北の展望(クリックで拡大)
鹿島槍ヶ岳南峰から見た北〜東〜南の展望
鹿島槍ヶ岳南峰から見た剱岳北方稜線 鹿島槍ヶ岳南峰から見た富山平野と日本海
鹿島槍ヶ岳南峰から見た北峰 下山開始
タカネツメクサ ミヤマココメグサ
タカネヨモギ。葉っぱがミヤマオトコヨモギと異なる キバナカワラマツバ。白馬で見たのと比べかなり低い
ミヤマトリカブト テガタチドリ
布引山 葉っぱの形状からシラネニンジンと判断
トウヤクリンドウ ハクサンフウロ
まだゴゼンタチバナがあった チングルマはほぼ終わり
ミヤマキンポウゲ。まだお花畑あり コバイケイソウの咲き残り
シロバナニガナ ウサギギク
テント場。新たに1張あり 往路で見たテントはまだあった
葉っぱからハクサンボウフウと判断 ミヤマコウゾリナ
クロウズコの実 マイヅルソウ。これで終わりだろう
登り返し。ここは風の涼しさがありがたい 赤岩尾根分岐
赤岩尾根分岐から見た鹿島槍ヶ岳
ニガナ ミヤマホツツジ
ミヤマダイコンソウ ミヤマダイモンジソウ。もうおしまい
オヤマリンドウ ミヤマママコナ
ハクサンオミナエシ ノリウツギ
オトギリソウ 高千穂平
ハクサンボウフウ ヨツバヒヨドリ
シモツケソウ カライトソウ。秋の花
ウツボグサ 遭難慰霊レリーフ
ホツツジ。ミヤマホツツジと違っておしべがまっすぐ アジサイ
ソバナ 林道脇のキバナノヤマオダマキ
? 高山植物ではなく山野草を調べるのは難しい ヤマハッカに似ているがちょっと違うような
オオカニコウモリ ツリフネソウ
キツリフネ
工事のためゲートは開いて鎖の車止めあり 駐車場到着


・台風崩れの低気圧が遠ざかってやっと天候が回復する予報になり、1日天候が持ちそうなので時間がかかる鹿島槍日帰りに決定。もう花のシーズンは終盤なので今年の鹿島槍はこれが最後かな。いつものとおり人気が無い赤岩尾根ルート。知らなかったが扇沢への県道は大雨で当日朝までゲートが閉まっていたそうだ。赤岩尾根の駐車場には右岸側(橋の手前)の駐車場に2,3台のみ。そりゃ、これまでの天気を考えれば当然だろう。雨雲レーダーと天気図を見た限りでは今日は稜線上は暴風雨だっただろうから。

・いつものように日の出1時間後を狙って出発しようと午前0時に起床したがまだ雨が降っていてテンションダダ下がり。30分ほどウトウトしなおしてから朝飯を食い、まだ止まない雨の中を傘を差して出発。気温は低めで上に長袖を着たまま歩きだしたのは久しぶりだ。山の上では強い北風が予想され体感温度は低くなると予想し、ここ最近では持たなかったジャンパーやズボン、それに雨から足元を守るためにロングスパッツも。いつもよりザックが重くなる。。

・林道はガスが出て視界が悪く林道の分岐が分かりにくいが、何度も歩いた道なのでライトの光だけでも間違うことはなかった。いつもは林道終点で沢に下りて水を補給するが、今回は藪が濡れているのは確実だったので出発時に水を入れておいた。少し重くなったが許容範囲だろう。西俣出合の堰堤周辺は前回は草ぼうぼうだったが、今回は直前に草刈りをしたようで体に触れる草はきれいさっぱり刈られ、まだ青い草が地面に落ちていた。ロングスパッツはこの草藪対策の意味が大きかったが出番は無かった。幸いにしてこの頃には雨は上がっていた。

・赤岩尾根は雨で滑りやすい岩や木の根に気を付けて登っていく。雨が再び降ることは無く天気予報通り回復に向かっているようだ。高度を上げると北からの風を感じるようになり稜線ではそれなりに風が強そうだが、予報通りの天気図になれば風は弱まるだろう。高千穂平の標識を通過して樹林帯を抜けるとさらに風が強まるが、登りの連続で火照った体を冷やしてくれてちょうどいい。夏の花は終わりかけでミヤマアキノキリンソウが最も多いが、ミヤマママコナはまだ残っていた。ミヤマダイモンジソウ、ミヤマダイコンソウは僅かに咲き残りあり。ウサギギクは暗闇でも目立つ存在だ。

・県境稜線に出る頃にはガスの中に突入し、写真撮影でフラッシュを焚いたら真っ白写真になってしまった。まだ周囲は暗く天気を含めて状況は不明だが、回復していることを信じよう。冷池山荘の窓には既に明かりが灯り、この頃には周囲は明るくなりつつあり、東の空はガスを通して赤く染まっているのが見えた。どうやらガスは薄まってきているようで期待できそうだ。そしてテント場まで出ると完全にガスを抜けて鹿島槍山頂までの稜線がすっきりと見えていた。予報通りだ! ちなみにテントはハイマツに囲まれた「別宅」に1つだけ。昨日の暴風雨を考えれば当然の選択だろう。それでも設営は大変だっただろうなぁ。

・テント場からしばらくは稜線東側のお花畑で冷たい風を避けられて助かる。花は終盤だがまだミヤマキンポウゲの群落は花を付けたままだった。さすがにコバイケイソウはおしまいで、数株だけ花が残るのみ。チングルマもほぼおしまい。ハクサンフウロはまだ多くが花を付けていたが、暗い時刻は花が閉じていることを初めて知った。草原にゴゼンタチバナが多数咲いている姿はちょっと不思議な光景。この花は主に樹林帯やハイマツの影など日影にある植物だが、開けたお花畑で見たのはこれが初めてだった。

・登山道が稜線の西側のハイマツ帯に出ると風が当たって寒くなるが、面倒なのでしばらくは半袖半ズボンのまま歩いたが、布引山への急な登りでさえ寒さを感じるほどで、布引山山頂で防寒用にゴア上下を着る羽目になった。ハイマツ帯では冷池山荘宿泊者と思われる3人パーティーが日の出見物中で、後方にもう一人の姿を確認。昨日の悪天の影響で小屋泊まりはかなり少なかっただろう。なお、私の前方には登山者の姿は無し。

・布引山から先はハイマツの海が切れて岩稜帯に変わると高山植物が多くなる。夏の花はほぼ終わって秋の花に切り替わりつつある真っ最中。多いのがトウヤクリンドウで、タカネツメクサ、ミヤマコゴメグサ、イブキジャコウソウも目立つ。稜線東側のお花畑にはハクサンフウロがまだ多く残り、ミヤマトリカブト、タカネヨモギ、ミヤマアキノキリンソウなど。僅かに咲き残ったテガタチドリあり。4日前に白馬岳で見たキバナカワラマツバも発見。白馬岳では葱平付近でここより標高がずっと低くて背が高かったが、この森林限界ではずっと背が低くなっていた。タカネヨモギは蕾の姿は白馬岳で見たミヤマオトコヨモギと同一で間違えそうになったが、葉の形状が明らかに異なる。タカネヨモギはニンジンの葉のように細かく分かれているのが特徴。

・鹿島槍南峰への最後の登りでトレランナーに追い越された。半袖半ズボンでこの気温と風では寒そうに思えるが、私よりずっと速いスピードで上がっていったので運動密度は相当なはずで、もしかしたらこのくらいの気象条件で程度なのかもしれない。なお、下山後にネットで調べていたらこのトレランナーの記録を発見。柏原新道を出発して暗くなる前に猿倉まで到達しているのには驚いた。

・無人の鹿島槍南峰に到着。北寄りの風が強く寒い! まだ時間があるので写真撮影だけして北峰へ。途中で花を探しながら歩き、前回見られたミヤマシオガマは全く見られなかったが、イワオウギ、シコタンソウ、シコタンハコベ、ミヤマクワガタ、タカネヤハズハハコ、ミネウスユキソウ、エゾシオガマ、コケモモ、シラタマノキ、ミヤマダイコンソウ、クロトウヒレン、ウメバチソウ、ヨツバシオガマ、ミヤマウイキョウなどが見られた。稜線南側に登山道が移ると冷たい風を避けられてほっとする。そして植物が風にあおられないので写真撮影でブレることがないのもありがたい。鞍部南側の残雪はまだ健在。

・北峰に取り付くと先行者の姿あり。南峰の登りで追い越されたトレランナーではなく冷池山荘の宿泊者らしかった。北峰山頂ではその先行登山者に写真撮影を頼まれる。太陽は雲に隠れて日差しは無いが、今の時間帯ではまだ日が低くもし日が当たると写真撮影時に顔が陰で暗くなってしまうため、日が陰っていた方が人物写真を撮影するには条件がいい。ここでも風が強く寒いのでお互いにすぐに山頂を後にし、私は鹿島槍南峰へ、彼はキレット方面へと下っていった。

・花の写真を撮影しながら南峰へ登り返すと山頂直下でトレランナーとすれ違った。北峰までの所要時間を聞かれたので通常なら1時間程度と答えたが、トレランだったらもっと短いだろう。追い越されたトレランナーと同じく半袖半ズボンの格好で、この風では寒そうに見える。南峰山頂に到着するともう一人トレランナーがいて風が当たらない南斜面で休憩中。半袖半ズボン姿で寒そう! 私は持ってきた防寒装備はほぼ全て着込んでちょうどいい程度で、この夏では最も体感温度が低かった。北峰に向かったトレランナーは45分程度で南峰に戻ってきて、待っていたトレランナーと共に冷池山荘方面へと駆け下っていった。その後は休憩中に登ってくる登山者は皆無で、夏山シーズンの鹿島槍としては異様なほど静まり返っていた。昨日の悪天では入山者は非常に少なかったはずで、これからやってくるのは日帰り登山者だろうが朝まで雨だったので出発が遅く山頂到着はまだなのだろう。

・北寄りの風が強いわりに遠望がイマイチで八ヶ岳、南アルプスが見えなくなり志賀高原方面は雲に沈んだままで奥日光等は全く見えなかったので1時間弱の滞在で下山開始。しばらくは登山者とすれ違うことはなかったが、布引山と同じ高さ程度まで下ったところで埼玉の入間在住の単独男性と遭遇。しばし立ち話した。その間に冷池山荘方面へ下る夫婦らしき2人組に追い越されたが、この2人はここまで姿を見ていないのでおそらくはキレット小屋に宿泊して今朝出発したと推測された。この2人とは布引山からテント場までご一緒して話しながら歩いた。

・テント場には新たに1張が設営されていた。往路で見たテントはまだあり、テントの主はここをベースにどこかを往復しているようだ。冷池山荘前は3人だけとまだ人の数は少なかった。

・樹林帯の鞍部へ下っていると1つだけマイヅルソウの咲き残りを発見。おそらくこれが今シーズ最後のマイヅルソウだろう。赤岩尾根分岐へと登り返しは冷たい風が心地よかった。前回はここでタカネバラを見たが、さすがにもう花は無かった。ここまで来ると爺ヶ岳方面からやってくる登山者とすれ違うようになった。赤岩尾根から上がってくる登山者の姿もあった。

・赤岩尾根は上部で登山者とすれ違ったが、その後は無人の尾根を下っていく。赤岩尾根の花はミヤマアキノキリンソウが最も多く、尾根上部ではまだミヤマママコナが咲いていた。ミヤマダイコウンソウ、ミヤマダイモンジソウは残り僅か。ニガナ、シロバナニガナ、オトギリソウ、ハクサンオミナエシはまだ多く見られた。秋を象徴するオヤマリンドウの姿あり。カライトソウも秋の花。季節は確実に移っているが、赤岩尾根下部に入ってからは冷たい風は稜線にブロックされて無風となり、日差しも出てきて暑くて汗だくに。往路では出番が無かった濡れタオルや扇が大活躍した。

・西俣出合まで下って大冷沢に下って水浴び。明らかに平時より水量は増えていたが水は濁っていなかった。せっかく汗を拭いてすっきりしたのが林道歩きで汗まみれにならないよう、できるだけ木陰を選んでのんびりと歩いた。林道ですれ違った人は皆無。駐車場に到着すると私の他には車は1台だけ。それに対して対岸の駐車場は珍しく満車で路側に駐車した車もあった。今の登山者は橋を渡った先に駐車場があることを知らないらしい。数年前に工事があってその駐車場が使えなかったが、その記憶が今でも続いているのだろうか。

・この日は下界でもここ数日より気温は低く、旧中条村に入るまでは車のエアコンを入れずに済んだ。

 

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